「当初、〜だと認識していました」...よく聞くセリフです
週末スペシャル - “スルガ銀-IBM裁判”の行方:ITpro
開発費89億7080万円...、そこまでの大規模プロジェクトには関わったことはありませんが、関係者(発注者-受注者間,開発者間)の認識違いや、プロジェクト期間中の外部環境変化(ウラシマ現象)が、後々、大問題になることはよくあります。
大企業の基幹システムは、縮れ麺のスパゲッティで覆われてます
少なくとも数10年前の導入当初、基幹システムにある販売管理、在庫管理、生産管理等の基本仕様は、どの企業も単純だったはずです。
その後、「独自know-how」や「他システム連携(対社外を含む)」「外部要因(法令対応等)」が蓄積、複雑化や巨大化を繰り返し、更には生じた矛盾点もそのままに『「例外発生時は運用(人力)でカバー」がルール』という訳の分からない状態もよくあると思います。
困難な要件をCOBOLやRPG等の非構造化プログラミング言語と30行も表示できない汎用機のエディタで実現してきた背景や苦労には、ものすごいものがあったと思います。それでも数10万〜100万超ステップにまで肥大化し、巨大な縮れ麺のスパゲッティとなっている現状を見ると、「自分の寿命より、この基幹システムの方がきっと長生きするな」と思います。
大手SIerやパッケージベンダは、麺をほぐせません
今回のスルガ銀行-IBM問題の他に、特許庁が5年前から進めていたレガシーマイグレーションを中止しています。
ニュース - [スクープ]特許庁、難航していた基幹系刷新を中止へ:ITpro
特許庁情報システムの技術検証結果について(METI/経済産業省)
政府システム調達、失敗の本質 - 55億円無駄に、特許庁の失敗:ITpro
↑この報告書にあるアクセンチュアの役割はよく理解できませんでしたが...
空港にある「NISSAN RUNS SAP」のような広告を見ると、国内自動車メーカは最新の生産システム(ERP)を導入していると思われがちですが、最新ERPを導入できるのは、しがらみのない新規の工場(多くは海外)で、既存工場のレガシーマイグレーションは聞いたことがありません。
大手SIerやパッケージベンダは、過去の開発実績や導入実績、自社ブランドを掲げ、「巨大縮れ麺スパゲッティ」のマイグレーションを企画提案し、開発受注します。
次に自社の強みを発揮できる核心まで現状(as is)を分析し、機能分解しようとしますが、外側の麺をほぐせず、つまずきます。
そこで企業の「独自know-how」吸収の為、企業担当者の協力を要請しても、銀の弾丸になり得る担当者には日常業務が集中し、時間を取れず、時間だけが進み「当初、〜だと認識していました」というセリフが聞こえ始め、最期には...
企業側には、自社システム全体理解している人材はいません
基幹システムの現状分析の為、企業担当者にインタビューを行うも、日常、利用している画面や機能は細かすぎる部分まで説明できますが、「その機能はなぜ必要ですか?」と質問すると、「今あるものだから...」や「〜さんに確認しないと...」のように全体を理解している人材は、殆どいないはずです。
それでも企業には、自社システムを主体的にDevOpsするべきかと
今のようにPCを使った業務が当たり前になり、スマホやインターネットが溢れた世の中になっても、「システムのことはちょっと...」と言われますが、業務システムは企業の業務そのものなはずなので、「そこは〜社に任せよう」等と切り分けせずに、主体的にDevOptするべきかと。
システム投資の妥当性評価は難しいかもしれませんが